『千一夜物語』で読み解く“美容”(6)

今回からお話が変わって、「大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・バドレディンの物語」。

エジプト王の大臣には、シャムセディンとヌーレディンという2人の美しく賢明な息子がいました。
ある日、この兄弟はゲンカし、ヌーレディンは旅に出ます。

迷ってたどりついたのが、バスラ(イラク)でした。

この国の大臣に気に入られ、ヌーレディンは大臣の娘との結婚を承諾しました。

婿としてヌーレディンを選んだことを説明するために、バスラ中の重要な人物を招きます。
招待客たちは全員結婚に賛成し、大宴会に移ります。
あらゆる種類のお酒を飲み、膨大な量のお菓子と果物、ジャム類を食べて過ごしました。

そして、「客は暇を告げるとき、“習慣どおり”、各部屋にローズウォーターを振いた」とあります。

客が去った後、ヌーレディンはハマムに案内されます。

大臣は自分持っている衣服のなかで最も美しいものをヌーレディンに与え、入浴用のタオル、洗い桶、香炉など、あらゆる必要品をハマムに送り届けました。
ヌーレディンは浴場で身体を清め、新しい服に着替えてハマムを出ます。

ヌーレディンのイケ面ぶりは、「最も美しい夜の満月と同じぐらい」と表現されています。

ハマムは、女性だけでなく、男性も“極上”にするようです!

モロッコではいまでも、花嫁は結婚式前に数回ハマムに通い、全身を磨き上げる儀式が行われています。

最も重要なのが婚礼前日のヘンナの儀式で、花嫁の家族がハマムを貸し切り、女性の親族や女友だちを招待して行われます。
この儀式は、垢すり、マッサージ、キャラメル脱毛、ヘンナの入墨と1日がかり。
花嫁が身づくろいしている間、女性たちは、砂糖、牛乳、卵、デーツ、クルミといった幸運の品を取り囲んで輪になって座り、歌ったり踊りするのです。

薫香のエキゾチックな香りが漂うなか、女性たちの宴会は、夜遅くまでつづくのです。

※Health & Beauty Review(講談社)のブログ「イスラム美容研究」で掲載された記事です。