『千一夜物語』で読み解く“美容”(8)

前回に引き続き、「大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・バドレディンの物語」です。

ハサン・バドレディンとセット・エル・ホスンは出会った瞬間に恋に落ち、ジニー(魔神)の計らいで、その夜結ばれます。

しかし、このジニーは、イフリータ(女鬼神)にハサン・バドレディンを昔住んでいたバスラへ連れ去るよう告げます。

イフリータは寝ている下着姿のハサンを肩に乗せて、飛び立ちましたが、途中のシリアのダマスカスに彼を置き去りにしてしまいます。

目覚めたハサンは、菓子屋に助けられ、彼の養子になりました。

一方、セット・エル・ホスンは、結婚初夜に懐妊し、ハサンとの子どもを産み落とします。
父親のハサンにそっくりの、美しく、かわいらしく、清らかな男の子でした。
あまりの美しさゆえ、この子は“アジブ”(驚嘆すべき者)と名づけられました。

この物語にも描かれているのが、愛らしい男児を悪魔から守るために、コホルの儀式です。

赤ちゃんの両眼をコホルで染め、眼力を強くするというもの。

コホルは女性のアイメイクだけでなく、こうした使われ方もされていたのがわかります。

※Health & Beauty Review(講談社)のブログ「イスラム美容研究」で掲載された記事です。